茶室日本建築京都アトリエひとりごと
高台寺の傘亭を桂離宮の月波楼と比べてみる
高台寺の傘亭は豊臣秀吉の伏見城の遺構
という伝承があるが確証はない
下は傘亭外観と
時雨亭とを結ぶ渡り廊下を見る
広さは8畳のなかに1畳の入り口土間と
1畳の上段風の席がある
それに付属して
2畳弱の広さの板敷きの調理場があり
水場流しと竈を備えている
庭に備え付けのあずまやの風情である
庭をめぐりながら途中で休息し
茶事や食事、酒宴などできそうである
下は傘亭内部
傘亭は天井が化粧屋根裏で
屋根を支える竹の垂木や竹小舞でつくられた野地板をあらわしている
垂木は放射状で唐傘を開いた様な意匠である
正面左に上段と
その前に玄関のような踏み込み土間がある
内部を逆方向から見る
正面右手に水場と竈そして食器や食材の収納があり
ちょっとした調理が可能である
傘亭は桂離宮にある茶屋・月波楼によく似ている
また中世の夢窓疎石の西芳寺以来の
北山殿や東山殿の庭園のあずまやの
延長線上にあるのようにも思える
その過程で茶の湯の発展にしたがい
調理場が付加されたのであろうか
下は桂離宮の月波楼を正面から見る
左に水場流しや竈そして収納や棚があり
調理師ペースも十分にある
構造的にも両者大変似ており
建具が入る部分だけ造作材で
他は柱も梁も多くの部分は自然の丸太が使われている
また特に似ているのは屋根構造である
ともに屋根裏まで吹抜けていて
竹の垂木の上に竹小舞の化粧屋根裏である
ただ月波楼は精細な仕事でまとめられ公家趣味的であるが
傘亭は屋根は茅葺で
全体にざっくり感があり野趣に富んでいる
下は月波楼内部天井を見る
化粧屋根裏天井で
傘亭とほぼ同じ手法がとられている