日本建築ランドスケープ京都環境・景観アトリエひとりごと
また庭の全貌を見ることができる
両者の位置関係や方向感覚の把握に戸惑いそうである
南禅寺の方丈 懐深く落ちつく縁空間
南禅寺は応仁の乱による荒廃が著しく
江戸初期に金地院崇伝の尽力で一部を復した
その時の遺構がこの方丈のほか三門や勅使門である
方丈の見学には庫裏から入り
廊下をすすむと
その廊下がこの縁側(下写真)につづき
視界が開け庭が現れる
右端に見える建築は書院で客を迎える室
左に見える堂々たる建築が大方丈である
大方丈は旧正親町天皇御所の宸殿で1611(慶長16)年に
その孫である後陽成天皇から拝領賜わり移築したもの
といわれが内裏のほか建築の説もある
この大方丈の裏には小方丈一体的に組み込まれており
これも伏見城遺構とも伝えられているが明らかではない
ともに国宝に指定されている
下は方丈側からみた光景
左に書院前の縁側が見え
右側に方丈の縁側を見る
また庭の全貌を見ることができる
<方丈前の二重の縁側空間について>
大方丈の前面(庭側)に並ぶ列柱より内側へ奥行き1間部分は
開放された縁側で「入側縁」であるが
「広縁」とよばれることが多い
さらにその外側に一段低い濡れ縁を設け
入側縁+濡れ縁で大きな室外の縁側空間をつくっている
入側縁の床は濡れ縁より15㎝ほど高く
しかも庇は深く 高さは 低く抑えているため
雨の日でも、日差しが強い夏季でも
居心地よく安心して過ごすことができる外部空間である
天候や季節と時刻により変化する庭を
思う存分長時間眺めていることができる
下は方丈の縁側の奥の方から庭を見る
斜め正面に書院をみる
懐深い庇に守られた広い縁側空間
居心地よい外部空間で
庭を眺めながら思索したりするには格好の場である