先週まで名古屋市美術館で開催された

「庄司達 布の庭にあそぶ」展

庄司達氏は1939年生まれで

80歳を超してのこの展示会である

そんな彼の作品の集大成とのこと

私は設計事務所勤務時代

先輩に連れられて桜画廊によく行きました

そこで庄司達氏など名古屋の造形作家たちと

お会いすることができた

また一宮の織部亭という食事処でも

空間の演出装置としての彼の作品が使われていた

飲食空間に浮かぶカラフルな布に

強い印象を受けた記憶がよみがえります

 

下は「白い布による空間 ’68-7」(1968年)

上から照明で照らされ

その光は布を透過するが下に行くほど弱くなり

透過する力を弱めだんだん暗くなる

明るさのグラデ―ションが生じ

精妙な美しさを感じます

写真での表現は残念ながら限度があります

布は四隅で糸で張力を与え

重力による自然な垂れもいいですね

下は「白い布による空間 ’68-5」

布を 上から糸で引っ張りあげた部分と

自重で下がる部分にできる自然な皺

重力のなせる原理を利用して

自然で柔らかな表情をつくる

 

下の作品は「Navigation Arch No.11」(2019年)

素材として布のほかに木棒が加わり

木棒に押された布の変形が楽しい

そこにできる木棒と布に囲まれた空間の面白さ

下の作品は「Navigation Flight No6」(2022年)

構造的には建築構造でいうトラスと同じ

上弦材が布 下弦材がロープ

これらは張力で持ちこたえ

それらに挟まれた木棒がトラス材として軸力を分担する

その結果 立体トラス構造体となる

(下)端部では引っ張り力がかかる上弦材の布と

下弦材のロープがその引っ張り力に負けないように

壁にしっかりと固定されている

最後の部屋「浮かぶ布(オレンジ 六角)」(2010年)

入場料がかからない無料ゾーンのホールから

この強烈な光景が垣間見える

トップライトから入る光を受け

また壁の大理石からの反射光を受けながら

浮遊する姿

一つの世界をつくっている