奈良 高畑 志賀直哉旧居

先回のブログの「ささやきの小径」の終着点近くに志賀直哉旧居があります

以前は春日大社の社家が多くあった緑多い閑静な住宅街です

ここに志賀直哉は 自らが設計した住宅に

昭和4年から昭和13年まで家族とともに住みました

 

2階にある8畳客間は通常の南向きではなく北向きです

下の写真が客間で

左側の障子窓は北向き 右の障子窓は東向きの開口部です

昼間の直射光は入りませんが

庭が広く穏やかな反射拡散光が入り

素晴らしく気持ちよい空間です

もちろん開口部が大きいことも関係あります

障子下の小壁の高さは43㎝で

2階部屋の窓下の高さとしてはかなり低く

この部屋の解放感を高めています

北東角にある障子戸部分にも壁はなく

 障子紙をを通して光が流入しています

 

下の写真で

右の窓から見える山は手前に御蓋山(みかさやま)

その奥にかぶさるように見えるのが春日山原生林です

阿倍仲麻呂の歌で有名です

あまの原 ふりさけ見れば 春日なる
        三かさの山に 出でし月かも

そして正面には 

今では邸内の樹木が成長し向こうを見通せませんが

若草山があるそうです

 

もう一つ建築的なお話も紹介しておきましょう

欄間障子の枠納まりを見ますと

障子枠をひっこめて土壁で面をつくり

下地窓のような納まりをすることで障子枠の存在を消しています

この納まりで建具としての障子は目立たず

そこから入る光が強調されています

 

この部屋の南には下写真のように書院(とその左には床の間)があります

その向こうにある6畳間は志賀直哉氏の書斎です

さきほどの8畳客間は窓からの景色を重視して北を向けましたが

さすがに日常的に作家活動に励む場所は南向きということです

建築家 才本清継 今まで日本人がつくり続けてきたものからヒントを得たいと思い

歴史的な空間遺産を体験しています 志賀直哉旧居から現代住宅へのヒントを多く見つけることができます

才本設計アトリエ  1級建築士事務所  日本全国で設計監理活動を行っています ご気軽にお問い合わせください

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