十便十宜詩は内容も面白い

山中の住まいの十の便利なところと

十の宜(よ)いところを挙げている

住居学本を読んでいるようである

 

十便(図は池大雅)では

この家の十の便利なことを挙げている

そのひとつ「釣便(ちょうべん)」は

家の前に小川が流れているため

「舟に乗ることなく、軒下で釣りが楽しめ

友人と談笑中、つまみが欲しくなったら

釣り糸を垂らす」

 

(絵は展示会で配布された

『十便十宜図』鑑賞ガイドより転載)

「吟便」は

「窓を開けると山々を望むことができ

詩想が自然と浮かんでくる

詩を詠むのに便利である」

 

次に十宜(図は与謝蕪村)は

四季のそれぞれの宜いところと

暁、晩、晴、陰、雨、風の

宜いところを述べている

「宜夏(ぎか)」

「家の周りの木々は太陽の暑さを遮り

おかげで安らかに

夏の長い一日を過ごすことができる

この家は夏に宜し」

「宜暁(ぎぎょう)」

「池に反射した朝日が

壁に美しい波紋を映し出す

それを見て日の出の時を知るのだ

この家は暁に宜し」