南禅寺界隈では

明治から大正ころに大邸宅がつくられた

そして完成したばかりの疎水の水を

利用して大庭園もつくられた

七代目小川治兵衛の「植治」が活躍した時代である

今回はこの界隈を街路から眺めてみようという企画

街路からみるだけでも学びは多い

 

(下写真)無鄰菴を出て岡崎疎水の流れに沿って東に向かう

敷地がカーブし無鄰菴の築地塀も

美しい曲線を描いてカーブしている

 

下 カーブに沿って歩いていくと

東端の敷地が鋭角に尖った部分に出る

このあたりから白川通りに入ると

そこには植治などが手掛けた庭をもつ

邸宅群があるところだ

清流亭、野村碧雲荘、旧細川別邸などを

擁する地域である

下写真は無鄰菴の東端

無鄰菴の中では三段の滝があるあたり

 

下写真は最初に出会った築地塀

背丈ほどある板は柾目で無節の大判である

その上部に小さな小壁を

土壁にして意匠的な間をとっている

また地面と接する巾木部分は

竹の半割を横に3段にはめ込んでいる

白くなった竹は雨に打たれて白くなり

床の御影石としっくりと調和している

機能的には巾木と壁の仕上を変えることで

傷みやすい巾木のメンテの周期を短くすることができる

巾木の位置は雨だれを受けやすく

また地面に近くて痛みやすい

 

下の門の両脇は半丸の竹で仕上げた塀

右手はまだ新しいが

左手はもう少し長い年月を経ていそうだ

材料が朽ちてこれば臨機応変にリニューアルする

自由自在である

自然素材は細かい経年変化の差を

あまり気にする必要がない

屋根の杮葺きには苔が生え

その上に落ち葉が積もり

緑や茶褐色が層をなし

経年変化と季節の移り変わりを

映し出して美しい風情である

 

(下)竹は和釘で固定されている

現在一般的に使われている釘は

時間がたてばさびて腐食する

加熱、鍛錬された和釘はこれらの欠点を補う

 

下の邸宅の門の両脇の塀の仕上げは

丸い竹を引き延ばして平面にしたものを張っている

大変な手間をかけての仕事だ

 

竹の塀の詳細

節の位置を自由に配置し

意匠にリズムをつけることができる

ここでは一枚の竹を石の基礎に置いているため

石に接した部分は白く変色し早く傷むようだ

 

下写真は

四面をちょうなで斫ったような殴り仕上の角材を

並べるている

塀の右横にある三本の角材は

下部を地中に埋めることで直立しているが

天板もないため

さすがに天然の木は

土から湿気が 天から雨が攻め寄せる厳しさがある

それを承知の上でも

天然材のよさは何物にもかえられない事は

言うまでもない

 

下も上記と同じような塀である

ここでは塀が道路際でなくかなりの距離セットバックし

街路に空間の広がりと美しい景色を提供している

しかも背後にある大庭園の雰囲気を醸し出している

 

 

大変手の込んだ柴垣のデザインを街路側に向けている

 

この街歩きの道すがら

赤松の手入れをする造園家の姿を発見

松の葉を素手で素早く透いていく

顔より上の部分は葉を透かせた部分

手より下はまだ透いてない部分

上下で雰囲気は明らかに違う

透いた後の姿は何と透明感、清涼感を感じることか

磨かれた幹は赤く輝き元気はつらつに見える