京都白河院はもともと1919(大正8)年に

呉服商の下村忠兵衛がつくった邸宅と庭園である

建築設計は武田五一 庭園は植治こと七代目小川治兵衛が手掛けた

さらに時代をさかのぼれば

平安時代には藤原氏の別荘の白河院があり

その後1075年に 白河天皇が法勝寺が建立した由緒ある場所であるという

法勝寺といえば池の中島に高さが約81mあったとされる

八角九重塔が建てられたことでも有名である

武田五一設計の建物は洋館と和館があったが

現在は和館だけが残り 洋館の位置には新館がつくられた

下写真は新館から正面に植治の庭をみ

左に武田五一が設計した和館をみる

正面には東山連峰があるが

今はその後建った民家を隠すための植樹が

結果的に東山を隠すことになったという

 

下は和館を正面からみる

伝統的な和室でありながら

建具には大きなガラス面を使い

桟のデザインも新しい工夫がされ

近代という時代の空気が感じられる

 

内部は伝統的な床、棚、書院ではあるが

棚の背後の明かり障子の形や棚の形も

自由な発想でデザインがされている

 

襖のデザインは伝統的な扇面散らしに一工夫が加えられた

その上の欄間も幾何学模様で新しさを出している

植治の庭

滝の姿は隠され落水の音がどこからともなく聴こえてくる

無鄰菴とよく似た手法せせらぎの流れ

 

最後は池に至るが

植治の意図に反はんしてか?

この池には鯉が飼われている

そのためにか水深が深くなり

水が澱んだように見られ無鄰菴の庭園との大きな違いを感じる

下の写真のように池の中を歩くことができる

飛び石の一部が水没している

特異な形の薬医門

軒先部分は檜皮葺 棟に近い部分は瓦葺

軒先に付けられたわずかな唐破風的曲線が

それとなく 優しく人を迎えてくれる

垂木でこの曲線をつくっている

天井も自由な発想が見られる