東福寺の西庭は

正方形のさつきの刈込と白砂によるモダンな市松模様が主題です

この市松模様は

北庭の有名な さらに繊細な市松模様に発展していく導入部にもなっています

前回お話ししたようにさつきの刈込と白砂の境界には

既存の縁石を再利用している

重森千青氏によると

自然石でなく人工的に直線的に加工された縁石を

利用しなければならなかったことで

三玲氏が考え抜いた末にたどり着いた答えがこの市松であった と

また三玲氏はこれまでの全国庭園調査から

直線的な模様のヒントを得たであろうし

また1930年前後西欧から流入した

モダンデザインも肌身に感じていたのであろう

ところで写真を見ると手前に正方形の刈込が

市松模様から離れて一つだけ孤立してあります

斜めに切られた一群の市松模様の

対角線上にバランスをとって配置されています

これはデザインとしよく理解できるのですが

その下が白砂でなく苔となっています

千青氏によると 当初この苔部分は白砂であったとのことです

それをイメージするとこのデザインがより明快になってきます 

下は南庭が西庭に移行していく部分ですが

白砂で西庭に接続していくので(廊下で区切られているが)

西庭の「地」は白砂が妥当であると考えられます

白砂の「地」の上にさつき刈込による市松の「図」を描いたデザインです

 

下は西庭から南庭の五山を見たところ

渡り廊下で切り離されているが

視覚的には両庭はつながっている