那古野の杉本家は名古屋市西区にあり

西は四間道(しけみち)と東の美濃路にはさまれた敷地にある

五条橋から円頓寺商店街につづく京町通は

すぐ南にある

歴史的には徳川家康のまちづくりにさかのぼる

この四間道界隈は名古屋市の町並み保存地区に指定され

土蔵と町家が城下町の面影を残している

 

この杉本家の石蔵もその一端を担い

名古屋市の認定地域建造物資産に認定されている

名古屋市HPによるとこの蔵が高い石垣の上に築かれており

この地域の代表的な町並みの特徴を有しているとのこと

また上部構造の外壁は石積みの石蔵造

栃木県の大谷石が使われているとのことである

外部の塀に大谷石が積まれている例は多く見るが

外壁には珍しい

しかしそれゆえ独特の存在感を発している

建築は1915(大正4)年

 

この蔵はこれまでは料理店として使われていたが

最近キッチンのショールームに改造された

そのため内部を見ることができたというわけだ

下写真は道路から階段を上がった1階部分

ここにロビー的な用途を置く

左の木板張の壁の左には事務室があり

右の壁には家具を置き

その上の天井までを鏡張りとし

部屋に閉塞感を与えないようなデザインがされている

 

内部の天井は蔵時代のままで

昔ながらの吟味された美しく力強い

木材で構成されている

壁はもともと漆喰土壁であるが

一部はそのまま残し

一部はその上に和紙を張るなどしているが

その気取らないやりかたで

全体をしっくりと調和させている

下の写真は窓の部分

存在感のある鉄製の開き窓と枠

ざっくりと施工された木製の窓保護部材

これらの建築の各部位が強く主張するわけでもないが

背景として室の雰囲気を高めている

素材ゆえであろうか