美濃路は名古屋の熱田宿で東海道と別れ

中山道の垂井宿をめざす脇街道

その清洲宿の少し手前にあり

以前は庄内川の堤防を兼ねていたという

美濃路に面してこの家は建っている

先日ご当主の柴田さんのご厚意に甘え

見学の機会をえた

家屋は経年変化で庄内川側に大きく傾き

2007(平成19)年には改修工事をおこない

その間に2006(平成18)年に登録有形文化財に登録された

改修工事の所以か

力強く凛とした佇まいをもっている

前におられる方はご当主の柴田さま

 

(下写真)以前は隣家も古い民家があった

今はその屋根神様がステンレスのケースにおさまっている

この姿は残念ではあるが民家の所有者から見れば

簡単ではない複雑な事情がある

屋根神様だけは残したいという切なる思いの表れであろう

 

(下写真)玄関口から内部を見る

右側は奥の台所に続く土間

左はミセから座敷と続き高床部分

ここで注目したいのは

土間と高床部分の境のスパンは約三間(5.4m)ほどであるが

その間の柱をなくしているため

土間と高床部分が一体的でワンルーム感が強くでている

柱をなくすことで生じた大スパンを支えるために

上に巨大な梁を入れている

もう一つ

土間と接する高床部分の床高は低く

20cmほどに抑えられ踏み込みのようになっている

そのことにより土間と高床部分の一体感というか

ワンルーム感がさらに強く感じられ

全体として心地よいゆとり空間となっている

これらの結果

入った瞬間のこの空間の印象はオープンで

ゆとりたっぷりの大きな空間と感じる

この空間感覚は他の民家ではあまり見られない

大きな特徴となっている(下2枚の写真)

 

土間に敷かれた石畳は

名鉄の踏切敷石を敷いている

以前は三和土であったとのこと

ミセなどがある高床部分の道路側の窓には

現在和紙障子がはめられ

表から柔和な光が入ってくる

ご当主の住まいのセンスよさが感じられる

左の外壁側におかれた、均等な間隔の仕口がある太い木材は

近くの解体家屋から入手した梁材で

現在は催し時のベンチとして使用している

その梁材の持つ力強さは

天井に縦横にはしる梁材にも負けず

この土間空間にしっくりとなじんでいる

(下写真)台所の吹き抜け2階から見る

小さいが大変効果的な光も導入する換気窓

この部分の床は今は土間でなく

板敷きとされている

当家にある尾張名所絵団扇から

枇杷島橋の往来の風景

広い庄内橋に橋を架けるために中島を設け

二つに分けてつくったとという

現在は、川に水かさが増したときに

悪影響があるということで、撤去されている

下は西枇杷島まつり風景

山車が繰り出され当時の賑わいが描かれている