滋賀県坂本にある滋賀院の創建は1615(元和元)年

滋賀院の名は後水尾上皇から賜ったという

比叡山延暦寺一山の総本坊で

代々の天台座主の御座所とされる

その宸殿の西側の庭は

三代将軍家光の命によりつくられたという

蓬莱山や鶴亀を配したと当寺にチラシには記されている

 

下は宸殿から見た庭の全景

 

(下写真)庭の中心部の造形

中心部分は滝組で

滝の両側の立石は鶴の羽石と見立てる

この周辺を蓬莱山とみることもできる

背後には比叡山があり

地勢は奥へ行くほど高くなる

比叡山からの流れがここに至るという見立てで

比叡山を蓬莱山とみることもできないか?

池にかかる切り石橋の繊細なプロポーション

この薄さの石でよく折れずに残っているものだ

背景の土地との高低差は

右手部分では野面積みの石垣で処理して

その前の平地を庭とし

左手は斜面を生かして庭づくりをした

変化をつけるための工夫がある

 

滋賀院の外にある野面積みの石垣

 

穴太衆の野面積みの特徴は

一つとして同じ形のない自然の石を

そのまま積み上げていく手法である

これはすべての石に役割があり無駄なものはない

という考えに基づくものであり

日本人の精神を反映した手法といえるのではないか