2021年に丸の内2丁目の角地に

坂茂の設計により竣工したタマディック名古屋ビル

私の元の事務所の斜むかえにあり

着工から竣工までを毎日のように眺めていたが

今回「なごや建築まつり」で見学する機会をえた

この建物は単に執務空間を機能的につくるだけではなく

随所に創造的で楽しい空間の試みが見られ

ゆとりのある明るい空間は見て楽しい気分になる

最上階の8階はHPによると

「社員が昼休みや仕事終わりに食事や休憩を取ったり

歓談する場として使われています」とあり

南側がガラスで全面引き込みができる扉となっており

オープンエア―な気持ちよい空間を実現している

ここではこれまでのように

最上階は豪華な建材や装飾品で囲まれた

社長や役員などの閉鎖的で部屋が並ぶという

古い常識から解き放たれている

 

下写真は8階のフロアから南~西方面をみる

南側のサッシが全面的に引き込まれた光景

8階の高さで緑のあるデッキと一体的な空間になり

大変気持ちいい空間となっている

外部のデッキ空間と一体化した室空間

程よい緑がこの場所の高さによる恐怖感をやわらげ

安心感を与えている

 

前庭のデッキと室内のフローリングはフラットでつながる

内部には入り込んだ雨水のための排水溝を設けている

 

外部にあるコールテン鋼でつくられた鉄骨の避難階段

渦巻きの中心の隙間空間が地上へと視線を導く

 

2階、3階は監理本部の事務室という

吹抜け会談で空間は一体化している

防火区画はフロアに仕込まれた防火扉という

社長室(下階の右側)の方から大きな水平防火扉が出てくる仕組み

床に見える細い隙間から扉が出るという

防火扉が閉鎖するときには

階段手摺のその部分がフリ-となっており

自然に跳ね上がるとのこと

 

免震構造で地震時は 建物が周囲に最大50㎝移動する

下の写真に見える点検口のような部分が移動する範囲

入口にあるこの柱は免振動作の外にある

この柱は地上にアンカーされておらず宙に浮き

構造的には建物本体からぶら下がっている

コールテン鋼の屋外階段

この階段の荷重も壁だけ支えており

建築本体と同じ動きをする

先ほどの柱と同じように地上から浮いている

 

設計者が長年にわたり考える紙管の家具たち

1階ロビーの家具

 

4階会議室フロア―の紙管家具