美濃市美濃町は商家町として

伝統的建造物群保存地区に指定されている

この地域は江戸期以降

長良川畔の上有知(こうずち)湊の船運により

この地域で生産される和紙を基幹とする経済活動で栄え

商業都市として栄えた

火事の多かった江戸時代

屋根の両端に防火壁を設け隣家からの類焼を防ぐ

工夫からうだつが考案された

そのうだつをもつ多くの町家によって

ユニークな街並みが形成された

 

(下写真)大石家住宅のうだつ

この建築年代は棟札により1872(明治4)年とされる

江戸期のうだつに比べ一層大きく豪華になっている

 

明治期のうだつの表現

うだつ屋根の上には棟瓦を高く積み

先端を鬼瓦で飾っている

破風瓦の下を陶器製の懸魚で飾っている

 

(下写真)小坂家住宅は祈祷札や柱の墨書から

江戸中期の1772(安永元)年の建造とされる

この町並みでは唯一国指定重要文化財に指定されている

江戸時代からの酒屋で

現在もミセ先で酒を販売し杉玉を掲げている

むくり屋根をもつ町家はこの町並みで唯一であり

町家の屋根としても珍しいという

屋根中央の後方にうだつ状の屋根が見えるが

当初は三本うだつをもっていたが明治の改修時に

そのうだつは取り除かれたとのこと

うだつ先端の意匠は明治期のものと比べ

鬼瓦や懸魚がなくシンプルなデザイン

 

小坂家内部

今も造り酒屋を営み古き時代のミセ構えである

帳場は江戸期の美しい姿が

よく残されている という

 

(下写真)旧今井家住宅 現在美濃史料館は

江戸中期(18世紀末)に建築され

にわ通から左部分は明治初期に増築されたと考えられている

この地域では最大規模の町家 美濃市文化財に指定されている

江戸末期から昭和16年まで美濃和紙の問屋を営んでいた

うだつは鬼瓦はあるが小さく懸魚はなく

デザイン的な曲線もなく古雅な雰囲気をもつ

(上下写真)

旧今井家周辺は当時の町家が多く残り

美しい町並み景観をつくっている

 

旧今井家住宅 ミセ帳場から街路を見る

 

ミセ帳場を見る

 

うだつ屋根連棟家屋は美濃市の文化財に指定されている

 

うだつ屋根連棟家屋と旧今井家住宅はほぼ向かえに位置する

ずっしりと重さを感じる伝統的建築物群である

 

昔ながらの広場であろうか

今は「ポケットパーク」と名付けられている

ほぼ連棟でぎっしりと繋がる町並みにの中で

このすっぽりと開いた空地は

心理的にも安心感、快適さを感じさせ

防災、防火的にも有効である