豊田佐助とは発明王として有名な豊田佐吉の弟である

旧豊田佐助邸は「東区文化のみち」のなか

東区主税町3丁目にある

建設年代は資料により若干の違いがあるが

「東区文化のみちガイドボランティアの会」

発行の見学資料によると

洋館は1916(大正5)年頃完成し

和館は1924(大正13)年に完成したとされる

1923年9月には東京で関東大震災が起きているが

その前後に洋館と和館が建てられている

同じ「文化のみち」の撞木館は これより少し遅れて

1925(大正14)年に建設開始されたものという

(撞木館のHPより)

佐助邸の洋館はレンガ組積造に見えるが

実は木造でつくられている

正面の太い柱型や陸屋根の姿は

憧れの西欧のレンガ積建築を模してつくられている

白いレンガを積んだように見える外装は実はタイル張りである

したがってこの柱型は実際の構造柱ではなく

西欧建築デザインをまねた張りぼてのデザインである

この建物を支える柱は

現代の木造住宅と同じような細い木柱である

後に増築された和館は洋館の壁に一体的に繋げられているが

既存の木造建築に木造で増築するのは

容易にできることを示している

 

下は洋館と和館を背面(北面)から見る姿

洋館の背面にはトイレや階段などを含む付属部があるが

その部分は伝統的な日本建築でつくられており、

その右にある和館と違和感なくつながっている

正面から見えないところは

大工の機転で自由につくったようにも感じられる

 

下は洋館の外観のタイルをみる

タイル張りは左官職人の手になるが

目地は覆輪目地という中央が盛り上がった特殊な目地

中央の盛り上がり部は陽光を受けて目立ち

上下の凹み部に影が落ちることで

盛り上がり部が一層強調される

特殊なコテを使い仕上げる

丁寧な仕事がされている

 

下は洋館内部の中心室 1階の洋間

洋館らしく天井高が高く欧州的なデザイン

 

左官職人が仕上げた漆喰の鏝絵

しっかりとデザインされ仕上げられている

 

下写真は2階の洋館側から和館側をみる

洋館の1階の天井高が高いため

2階の床は和館の2階床よりも高い位置にある

 

その階段手摺のデザイン

波型欄間の無双窓

 

和館2階の和室の欄間や書院窓の障子のデザイン

この建築がつくられた時代は欧州では近代化が進み

建築界ではル・コルビジェが活躍しはじめている

下の障子の桟のデザインは

斜めと水平 垂直ラインを組み合わせ

美しい模様を描いている

斜め線は江戸期の数寄屋建築にも使われるから

これを一概にモダンデザインと断言はできないが

線の組み合わせ方に

新しいモダンデザインの感性が感じられる

 

 

洋館2階の和室の欄間デザイン