建造物愛知県近代建築日本建築ランドスケープ環境・景観アトリエひとりごと
創建当初は2階のバルコニーの屋根と展望室はなかった
現在のご当主はメンテナンスにきめ細かい注意を払っている
造作され見ごたえがある
擬木としては古い例ということだ
これも登録有形文化財である
東海市 久野家住宅をみる
東海市加木屋町の久野家住宅は
知多半島中央部の丘陵地に位置する
主屋を建てた久野淗之助(きくのすけ)の号から
愛山居とも称される
設計者は主婦の友社に委嘱して当時全国で
住宅を設計していた西村伊作に決定されたという
大変面白い経緯だが
当時住宅を建築士に依頼することが少なかったためであろう
完成は1925(大正14)年で
2024(令和6)年に登録有形文化財に登録された
下写真は2025年10月撮影
現在改修工事中で外観は残念ながら判然としない

当家には建設当初と現状の模型があり
その変遷がよくわかる
下写真は創建当初の模型
1階のパーゴラ部のゆるやかなアーチ形状は
西村伊作好みとのこと
創建当初は2階のバルコニーの屋根と展望室はなかった
下は1930(昭和5)年以前には2階(右端)に展望室が追加された後の姿
1930年に愛知県で第三師団の知多地方機動演習が行われた際に
旅団長だった東久邇宮稔彦王少将が
御座所として久野家に泊った ということである
この時 バルコニ―の屋根も付加されている

(Wikipediaより引用)
下は展望室からの現在の眺望
南東の角に配置された展望室は
全面ガラス張りで陽光がたっぷりと入り
気持ちよい空間である
シンプルながら建具のデザインにも気を配っている
当初はここからは知多半島の丘を
遠くまで展望できたというが
現在は樹木が鬱蒼と茂り
また建物も密集し眺望を損なっている
建設後1世紀が経過し随所の傷みが激しく
現在のご当主はメンテナンスにきめ細かい注意を払っている
2階の洋室
建具枠はしっかりとデザインされ
造作され見ごたえがある
擬木による門柱も登録有形文化財
擬木としては古い例ということだ
