日本建築ランドスケープ京都環境・景観庭アトリエひとりごと
三畳の間は舞台造で床の高さをあげている
京都渉成園の数寄屋建築 縮遠亭
渉成園は京都東本願寺の飛地境内地で
東本願寺の東に位置する
江戸初期に三代将軍徳川家光から
土地の寄進を受け
1653(承応2)年に上人の隠居所として
整備し始めたという
庭園に関してはかつては平安時代に左大臣源融が
営んだ六条河原院の旧跡という伝承があるとのこと
現在は池泉を中心とした庭園で
国の名勝に指定されている
また茶道においても千利休の伝承や
煎茶道とのかかわりが語られている
建築に関しては文化財として
指定や登録されたものはない
その中でもユニークな数寄屋建築がある
漱枕居と縮遠亭である
当寺のHPによると
漱枕居は1865(慶応1)年頃に
縮遠亭は1884(明治17)年頃に再建されたという
西澤文隆氏の数寄屋建築の研究書の中では
この2棟を取り上げている
どちらも外壁はほとんどなく
障子とそれを保護する雨戸で仕切られており
それらを開放するとまるで外部にいる雰囲気だ
下は縮遠亭
左は4畳間の茶席
中央には斜めに接続された
吹き放ちの板の間(中央)があり
その先(右)に三畳間があるが
その床高を階段を2段ほど上がり高くしている
四周ははすべて引き違い障子で
二方には手摺付きの腰掛がつくられている
障子を開放し腰掛に座って周りを見ると
かつては東山三十六峰の一つ
阿弥陀ヶ峰の遠景が縮図の如く見えたという
そのアイデアとデザインが格別である
三畳の間は舞台造で床の高さをあげている