福井市の福井城址のほど近くにある養浩園には

江戸初期の数寄屋と庭園があり

庭園は名勝に指定されている

福井藩主松平家の別邸で

江戸初期から中期につくられている

正確な時期は不明で三代忠昌の時代(1623~45)に藩邸となり

「芝原上水」を引き込んで池をつくり池泉庭園とした

そして文献上の初見は1656(明暦2)年

この時期は京都でも

最高の数寄屋建築が生まれたころである

例えば桂離宮の二次造営や修学院離宮など

しかしこの松平別邸は戦災で焼け落ち

庭園の石組や築山などは守られた

1982(昭和57)年庭園が名勝指定をうけた際に

1823(文政6)年に描かれた指図をもとに

松平別邸は復元され1993(平成5)年に完成した

(以上歴史事項は案内チラシを参照)

外観も内部もすぐれた数寄屋意匠で仕上がっており

細部意匠にも数寄屋的なこだわりがたくさんある

今回は池泉に接した建物が

その水面からの反射光が天井に届き

波が揺らぐ姿を紹介したい

 

下写真は建物際のギリギリまで池泉をはって

あたかも池に浮かぶ姿を演出している

 

下は対岸から見る数寄屋

手前に州浜や岩島などの景石をおき

岩島越しに数寄屋を見せる

 

中心の室 「御月見ノ間」から池泉の向こうの

四阿や七重石塔をみる

書院的な意匠で額縁をつくり

対岸に適切な間をとりあった四阿と石塔の

景色を切り取る

(下写真)「櫛型ノ御間」の障子窓は

上部を変形された花頭で飾っている

いかにも江戸的な意匠

午後の太陽が水面から反射し

天井面で揺らぐ

何と魅惑的でしょう

 

四阿の書院と脇の障子は

数寄屋的な手の込んだデザイン

書院欄間は江戸期の意匠が

さらに変化していく兆しがみえる